ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人

アニメやゲームの感想を通じて多くの人と繋がっていきたいです。火と金に「ねとらじ」にてアニメ感想ラジオも放送してます。今期はゆるキャン△、宇宙よりも遠い場所、ダーリン・イン・ザ・フランキス、刻刻、ポプテピピックが中心です

Charlotte(シャーロット) 第13話 「これからの記憶」の感想と考察 物語の完結によって見えた麻枝准という作家のモチーフの変化とは・・・

 

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シャーロットの主に最終回についての考察です。長文とネタバレなのでご注意を・・・

<能力者とは何だったのか?>

まずなぜ能力が発現するのか?については作中で明確に説明されています。「75年に一度接近するシャーロット彗星から降り注ぐ未知の粒子を吸った人間(未成年に限る)に発症したものが能力である」でしたね。

この能力には個体差があって、人によって様々ですがどれも不完全であるというのが特徴です。なぜ不完全であるのについては不明。しかし私はその理由について「人の持つ力であるから」という風に解釈しております。

さ て登場キャラクターの能力を幾つかあげてみますと主人公の有宇は「略奪」で友利が「不可視」、高城は「瞬間移動」、柚咲は「口寄せ」で熊耳は「特殊能力者 発見」であります。これらの能力が何を意味しているのか?を分析する時に重要になってくるのはそれぞれの持つバックボーンですが、これに関しては不明な キャラも何人かいるのでそこが難しいところなんです。

しかし私はこう解釈しています。発現した能力とはその人の持つ性質や願望といったも のが強く反映されたものではないかと・・・。有宇であれば彼は「略奪」の能力を悪用し似非優等生生活を送っていたわけですね。結局のところ自分に自信も持 てず、誰かに依存することでしか生きられないその性格に相応しい能力と言えるでしょう。

また友利や高城、柚咲も同様にその性格や願望と いったものが反映されているように思います。そして特にそれが顕著だったのが最後に登場した能力者「勇気」の能力を持つ少女です。それ事態は特別な能力で はないのですが、まさに彼女の持つ正義感や「強くありたい」という願望が突出したものだと私には映りましたね。

<麻枝さんが続けてきたモチーフは取り戻す物語・・・しかし今回はそこに大きな変化が訪れた!>


私は麻枝さんの作品に多く触れているわけではないのですが、これまで視聴した麻枝さん原作のアニメ作品は「Kanon」「CLANNAD」「AngelBeats!」で、「リトルバスターズ」については途中で視聴を切りましたけど最終回までの展開はおおまかに存じあげております。

さ て彼の物語には共通したモチーフがありまして、それは主人公が失った何かを「取り戻す」物語であるということです。もっともこれに関しては賛否両論がござ いまして、最終的に主人公は失ったものを「全て取り戻す」が、しかしその際に用いられるのが奇跡の力であるという点ですね。

現実の世界を 鑑みると、我々はこれまで生きていた過程で多くのものを手に入れてはきましたが、同時に少なくない幾つかの大切なものも失っているはずなのです。それは物 であったり、時間であったり、人であったり、様々でありましょう。その人にとって大切であれば大切であるほどに失ったことの後悔は重くのしかかっていくこ とでしょうね。

ちなみに、私は失った物は二度と取り戻すことは出来ないと考えています。だからこそそれはその人にとってかけがえないものとなる。それでもやはり「取り戻したい」と思ったことはありませんか?

物 語とは作り手のこれまでの体験や思いが強く反映されるものだと思います。だからこそそこにリアルティが生まれる。自分の中に全くないもので何かを構築する のはとても難しいことなのです(不可能ではないと思いますが)。これだけ同じモチーフを続けているということは脚本家の麻枝さんももしかすると失った何か を消化できないでいるのかもしれません。

そしてそんな彼が我々に「取り戻す物語」を提供するからこそ多くの人の共感が得られ、物語の最後にはカタルシスを感じられたのかもしれませんね。

さ て、私個人は先ほども申し上げたとおり、人は失ったものを取り戻すことは出来ないと考えていますが、ただ代替行為などによって取り戻すことは不可能でも 「回復する」ことは可能であると考えています。ですので、物語にリアルティを求めるのであれば「取り戻す物語」ではなく「回復する物語」であるべきだと常 に考えていました。

そしてこのシャーロットと いう作品も途中まではこれまで通り「取り戻す物語」という要素を消化して完結するものだと思われましたが・・・実はそういう結末にはならなかったのです。 確かに主人公その能力によって一部(妹など)を取り戻すことには成功しましたが、それは不完全なもので望みの全ては叶えられないという展開になったので す。

これには正直驚きました。そして主人公は自身の身を犠牲にすることで重大な問題の解消に至ったものの、自身は「取り戻す」どころかあ る意味ではとても大切なものを「失ってしまった」のです。しかし、彼の帰りを恋人という大切な存在が待っていて、彼女はこれからその失ったものを取り戻す ことよりも、より未来的な選択として「新しく作ろう」と提案して物語は締めくくられていました。

なるほどこれはこれまで通りの取り戻す物語ではなく、「回復」と「再生」の物語へと変化したのだと私は理解しました。これまでの予定調和的ハッピーエンドで締めくくっていた麻枝さんの作品群とは明らかに違う物語性への変化には正直驚かされました。

しかし回復することで、その人にとっての「再生」というチャンスが生まれるという視点は実に真っ当なもので、感心させられます。失ったことで傷ついた心は回復すべきなんです。そしてその後には必ず再生という実に前向きな機会が訪れる。

それこそが人生の希望であると私は考えています。このテーマを消化した物語性を私は高く評価したいし、きっとこれまでの麻枝さんにもこれまでとは違う何らかの心境の変化が作品に反映されたものだと私は解釈しております。

<サラの存在は何を意味していたのか・・・そしてコードギアスのルルシーシュとの類似点は?>

私 はてっきりサラが最終回で記憶を失った有宇の記憶を取り戻すものだと思っていました。しかし彼女は有宇との邂逅以降は一切登場せずいまいち物足りない活躍 だったことは否めません。しかしサラの存在が物語っていたのは、これから有宇に起こることの予言であり、その意味においては重要であったと言えます。

おそらく彼女の口ぶりが察するに隼翼のタイムリープかそれに近い能力の持ち主だったのだろうことが想像できます。「ズル」をして両眼の光を失ったから、「やるならうまくやれ」というアドバイスはまさにこれから有宇の未来に起こることを示唆していたように思えます。

サラはその能力を行使したことによって成功を得ました。しかしその代償として両眼を失ったわけです。これは罪と罰であり、そしてそれは有宇の身にも全く同じことが起こりました。片目を失ったことと、最後に記憶を失ったことがまさに罪に対する罰と言えるでしょう。

もっ とも、世界中の能力者達の能力を奪う旅に出た時にはすでに「罪と罰」を自覚しており、行為の代償によって何が起こるか分からないが、何が起きてもその覚悟 はできているという口ぶりでありましたから、最終的には強い能力を持つ者の責任として偽悪的に行動していたと言えますね。

この一連の行動 を見ていると私は「コードギアス」のルルーシュと重なるところがあるのです。この作品も「能力者もの」という色も濃かったのですが、最後は「ゼロレクイエ ム」を実行したルルーシュが偽悪的に振るまいその罪を一身に背負って死んでいったという結末でありました。

元々、外見や性格もルルーシュと有宇は酷似していると思っていましたが、やはり有宇の最後の行動はそこからヒントを得たのではないでしょうかね?

<最後に批判的な意見も含めた総評を・・・>

うーん、前述した通り私の中ではこの作品は見事にそのテーマを消化した物語の完結については評価しています。

た だ納得出来ない部分は多々あります。例えば、多くのキャラクターが登場したにも関わらず、それらを生かしきれていたか?というとやや疑問符がつきますね。 生徒会の高城なんて最後はほぼ出番がなく、柚咲も同様でありました。しかもタイムリープによってもはやここまで辿り着いた過程も以前とは違ってますので、 となると有宇との関係性も変わっているわけで、そこもぼかしているのは設定としては破綻しているとしか言い様がない。

後、私がどうしても納得できなかったのは「能力」についてどう捉えるかという解釈についてです。最終的に主人公は「能力」は人を幸福にしないと結論づけたうえで、その能力を奪い続けることを決意しましたが、それも一方的な価値観によるものですよね。

確 かに能力を悪用する輩もいるし、これを利用、あるいは研究材料にしようとする輩もいる。しかしながら、この力を必要としてそれによって救われる人々がいる という事実に目を瞑るというのはいかがなものでしょうか?能力者の能力を全てを奪う以外に解決の道を探ることも出来たのではないか?と強く思います。

だって、有宇はその能力によって妹を取り戻すことが出来たのですから・・・。まあ、回復の能力によって目を回復しタイムリープを使って熊耳を取り戻すことをしなかったのは評価します。精一杯好意的に解釈できるのはその部分のみになりますね。

実はまだまだ書き足りない部分はあるのですが、それについてはまた今週水曜日のラジオ放送後にまとめさせて頂きたいと思います。とりあえず今回はここまで、この感想についての是非皆様の率直な意見を聞かせて頂きたいですね。

シャーロット最終回特集~!!考察&批評・・・9月30日(水)22時より一週間のアニメ感想を語るラジオ「ピッコロのらじお♪」を「ねとらじ」にて放送!!>

9月30日(水)22時から放送の「ピッコロのらじお♪」では引き続き夏アニメの感想について語り合います。Charlotte -シャーロット- 、六花の勇者、監獄学園、Classroom☆Crisis、GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり、アルスラーン戦記

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